診療情報管理士の認定試験の受験者数が減少し続ける3つの理由
診療情報管理士の認定試験の受験生の方から『認定試験の受験者数が減ってるのは何故
なのでしょうか?最近は人気が下がってきていて、この資格を目指しても意味が無いの
でしょうか?』と重めの質問を頂きました。受験者数が近年、漸減の一途を辿っている
主な理由を紹介します。資格として将来性が無い訳ではなく、誤解をしないで下さい。
目次
認定試験の受験者数が減少し続けている3つの理由
例えば医療従事者の資格の中で毎年安定して受験者数を確保できていて、不動の人気を
誇っている職種は医師や歯科医師、看護師、薬剤師あたりでどこが違うのでしょうか?
理由1 半世紀以上国家資格化できてないから
診療情報管理士の資格は1972年に創設され、当時は『診療録管理士』の名称でしたが、
その後50年以上も民間資格のままで国家資格化できていません。日本病院会様等の主催
団体が再三に渡って厚生労働省に陳情を繰り返してきましたが、依然として立法化への
ムーヴメントを起こせていません。国家資格にできれば、例えば『診療情報管理士法』
というような名前で法律が施行されて、業務独占型等の国家資格として配置基準が明確
に規定されます。それによって世の中で有資格者への需要が強烈に喚起されて受験者数
が大幅に増えることが予見されます。しかし内々での実情としては厚生労働省の担当者
がまともに取り合ってくれてない状況で、民間資格であることが最も大きい理由です。
診療情報管理士の認定試験は2026年に第19回を迎えて、歴代の受験者数を基に統計的
に推測すると今後は毎回200~300人程度の減少が見込まれ、増加は到底望めません。
理由2 待遇の条件があまり魅力的でないから
診療情報管理士は医療事務の職種よりは全般的に待遇の条件が良いですが、国家資格を
所持した医療の専門職の方達には当然及びません。巷の医療機関でのニーズは随時拡充
されてきていて役割が多岐に渡っています。でも民間資格であることもあり、特に男性
が就く仕事として長い目で見た時にどの程度魅力的に映るか?は微妙な面があります。
例えば平均年収の指標を調べてみると医療事務関係の労働者よりは高めになりますが、
率直に言うと突出して待遇が良くなる職種という訳ではなく、それも理由になります。
理由3 取得するまでに2年以上もかかるから
診療情報管理士は民間資格でそんなに待遇の条件が良い職種ではないのに取得するのに
通教生の場合は最短で2年3ヶ月、長いと2年9ヶ月要します。指定校生だと3年以上
の期間が必要で短大を1つ出るのより長く、それが大きな負担になっています。例えば
医療事務系の資格ならば大体3~4ヶ月で取れてしまうケースが多く、この点は大きな
理由になります。通教生の方達は大半が医療事務の仕事をされている社会人の方達で、
『働きながら2年ちょっとで本当にこの資格を取れるのでしょうか?』というご相談を
当サイトでも過去に数多く頂いてきています。コストの負担は指定校生の数百万円程度
と比べてかなり安くなりますが、長期間であることでの負担は色々な面で大きいです。
まとめ
診療情報管理士の認定試験で受験者数が年々減ってきている主な理由を総括してお伝え
してきました。資格試験の未来予想図としては例えば5年後や10年後は毎回1000人を
下回って500人くらいまで減少するかもしれません。でも医療機関の現場での有資格者
への需要は拡大していくのが必至です。そうすると稀少性が有意に向上していく事態が
想定されます。認定試験の受験者数を増やす方法としては国家資格にすることやテレビ
ドラマ等で大々的に取り上げることが考えられますが、現状ではどちらも厳しいです。
今のままだと『診療情報管理士は自身の子供に勧められる職業ですか?』の問いに多く
の方達が肯定的な返答をきっとできないでしょう。2000年4月に診療録管理体制加算が
制定されましたが、残念ながらその中でも診療情報管理士の有資格者に係る明確な規定
が存在する訳ではないです。それ以上の改善が実現される将来を期待してやみません。
