医療事務で最高難易度の資格は診療情報管理士?レセ認医科?
『医療事務の資格の中で最も難しいのは何なのでしょうか?』と難易度について質問を
頂きましたので回答しておきます。どれが最難関の資格なのか?結論をお伝えします。
医療事務の資格の難易度はどう決める?
そもそも難易度という言葉は各位が主観レベルで自由に用いる傾向が一般にあります。
そこでこちらの記事では『資格試験で最終的に合格するのが難しいかどうか?』を示す
指標であると定義した上で議論を進めていきます。つまり、受験勉強を進めていく過程
での大変さや難しさではなく試験での合格しにくさについてどれが一番なのか?です。
診療情報管理士とレセ認医科でどっち?
医療事務の資格は似たような名前のものが非常に多く在ります。しかし最後に受験する
試験で合格することの難しさを難易度と定義すると診療情報管理士と診療報酬請求事務
能力認定試験に限定されます。最も難しい内容が出題される為にこれらが単純に2強に
なります。因みに診療報酬請求事務能力認定試験は医科と歯科がありますが、外来より
入院のレセプトの方が遥かに複雑で難しいので難易度は医科の方が上と判断できます。
更に診療情報管理士は厳密には医療事務の資格ではありませんが、一般的には医事課の
所属であるケースが多く、医療事務のカテゴリーの中で仲間と捉えられていることから
診療報酬請求事務能力認定試験の資格との難易度の比較が実際に可能であるとします。
- 診療報酬請求事務能力認定試験(レセ認)(医科・歯科)
- 診療情報管理士
- 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)(医科・歯科)
- 医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク)
- 医師事務作業補助者検定試験(ドクターズオフィスワークアシスト)
- 医師事務作業補助者実務能力認定試験
- 認定医師秘書(医師事務作業補助業務実務能力認定試験)
- 2級医療秘書実務能力認定試験
- 医療秘書技能検定試験
- 医科医療事務管理士技能認定試験
- 医科医療事務技能認定試験(医療事務技能士認定試験)
- 医科2級医療事務実務能力認定試験
- 医療事務実務士(医療情報実務能力検定試験)
- 医療事務(医科)能力検定試験
- 医療事務認定実務者試験
- 医療事務OA実務能力認定試験
- 電子カルテオペレーション実務能力認定試験
- 医療事務検定試験
- 医事コンピュータ能力技能検定試験
- 医事オペレータ技能認定試験(メディカルオペレータ)
- メディカル・フロント・コンシェルジュ技能認定試験
- レセプト点検業務技能検定試験
- 保険請求事務技能検定試験
- クリニック事務技能認定試験
- 医療保険士試験
こんなに似たような名称の民間資格が多数在ったら『共倒れになるんじゃないの?』と
想像できてしまいます。現実にレセ認は競合の資格に負けて淘汰されてしまいました。
参考までに診療報酬請求事務能力認定試験は唯一厚生労働省が認定した公的資格であり
その他の医療事務系の民間資格とは扱いが異なる面があります。混同しないで下さい。
比較対象の指標 | 診療報酬請求事務能力認定試験(医科) | 診療情報管理士 |
---|---|---|
資格の種類 | 公的資格 | 民間資格 |
資格試験の頻度 | 年に2回(7月・12月) | 年に1回(2月) |
資格取得までの平均的な学習期間 | 2~3年 | 2~4年(通教生は2年3ヶ月又は2年9ヶ月以上で、指定校生は3年又は4年以上) |
標準的な受験勉強の期間 | 6ヶ月以上 | 12ヶ月以上(最短でも6ヶ月以上) |
受験資格 | 無し | 通教生は通信教育講座の修了
指定校生は指定校(大学又は専門学校)の卒業又は卒業見込み |
試験中の教材の持ち込み | 可 | 不可 |
受験料 | 9000円(税込) | 10000円(税込) |
問題数 | 学科試験(四肢択一式のマークシート選択問題20問)
実技試験(手書きの外来用のレセプト1問・手書きの入院用のレセプト1問) |
基礎分野(五肢択一式のマークシート選択問題50問)
専門分野(五肢択一式のマークシート選択問題60問) |
試験時間 | 180分(学科試験と実技試験を分けずに実施) | 基礎分野60分
専門分野60分 |
合格基準点 | 8割(学科試験・実技試験)(但し、相対評価で合格ラインが毎回変動する) | 6割(基礎分野・専門分野)(但し、相対評価で合格ラインが毎回変動する) |
合格率 | 3割前後 | 通教生は4割前後で、指定校生は7~9割 |
資格試験の難易度を計測する上で最も重要な指標はテストの合格しづらさがどの程度で
あるか?と言えます。診療情報管理士では基礎分野で50問中20題、専門分野で60問中
24題まで間違えても合格できます。一方で診療報酬請求事務能力認定試験(医科)では
毎回8割前後の合格基準点になります。仮に8割と仮定すると学科試験では4題、実技
試験では3~4題以上間違うと落とされる展開になります。レセ認では医科と歯科共に
ミスしても良いのは学科試験と実技試験でそれぞれ1~2題までという印象です。この
点が資格試験の難易度の本質であり、注目すべきです。診療情報管理士は『受験資格を
手にした受験生をできるだけ多く、そして早く合格させてあげよう』としている空気感
を感じることができます。それに対して診療報酬請求事務能力認定試験は明らかに大勢
の受験生を鋭利に落としにきている雰囲気があり、その違いが決定打となって難易度の
比較では診療報酬請求事務能力認定試験の方が明らかに上と結論づけられます。因みに
教材を試験会場に持ち込めるから簡単とか、合格し易いなんてことは一切ありません。
たった3時間しかない厳しい制限時間の中で『その場で調べて解決できること』なんて
たかが知れています。そんなことは難易度には関係無いです。という訳で、医療事務系
の資格試験の中で難易度が最も高いのは診療報酬請求事務能力認定試験(医科)となり
ます。レセ認の医科か歯科を取得するにはほぼパーフェクトな得点力が求められます。
まとめ
医療事務系の資格試験の中では一般に診療情報管理士が最難関だと言われている向きが
巷ではあります。最後にある認定試験の受験資格を得るまでの過程がかなり長くて大変
だからそのように評価されている面は確かにあるでしょう。診療報酬請求事務能力認定
試験は受験資格が無く、取得し易いイメージがあるかもしれません。しかし資格試験で
最終的に合格できるかどうか?の審査の基準を難易度と定義すると、診療情報管理士は
凄く合格し易いテストであると言えてしまいます。過去に受験した経験がある方達なら
実感できてると推察されますが、診療報酬請求事務能力認定試験は学科と実技の両方で
3~4問を誤るともう落とされるというイメージがあります。従って合格のしにくさや
しづらさで比較してみると診療報酬請求事務能力認定試験の方が診療情報管理士よりも
圧倒的に難しいと言い切れることになります。読者の皆さんはどう感じるでしょうか?
