診療情報管理士の認定試験は今後どうなる?未来予想図の展望
『今医療事務の仕事をしていて診療情報管理士の資格を取ろうかなと考えてるのですが
認定試験の受験者数が年々減ってきてるみたいで、この資格はこれからどうなっていく
のでしょうか?ちょっと不安になってきてしまって.. 』と読者の方達からご相談を頂き
ましたのでお答えしておきます。読者の皆様にも率直なご意見をお寄せ頂きたいです。
目次
診療情報管理士の資格が廃れそうにない3つの理由
まず診療情報管理士の認定試験の試験実績を先に示しておきます。2008年度から全国
で一斉に客観テストを実施して資格を認定するようになり、受験者数は激増しました。
因みに1972年に診療録管理士の資格が創設されて2007年までの36年間に約16000人
が認定登録され、途中で診療録管理士から診療情報管理士への移行試験もありました。
実施回と年次 | 受験者数 | 合格者数 (保留合格者を含む) |
不合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
第1回(2008年) | 3108人 | 1655人 | 1453人 | 53.2% |
第2回(2009年) | 3649人 | 1875人 | 1774人 | 51.3% |
第3回(2010年) | 4038人 | 1990人 | 2048人 | 49.3% |
第4回(2011年) | 3613人 | 1866人 | 1747人 | 51.6% |
第5回(2012年) | 3658人 | 1866人 | 1792人 | 51.0% |
第6回(2013年) | 3586人 | 1567人 | 2019人 | 43.7% |
第7回(2014年) | 3667人 | 1752人 | 1915人 | 47.8% |
第8回(2015年) | 3777人 | 1881人 | 1896人 | 49.8% |
第9回(2016年) | 3992名 | 2118人 | 1874人 | 53.1% |
第10回(2017年) | 3775人 | 1678人 | 2097人 | 44.5% |
第11回(2018年) | 3868人 | 2564人 | 1304人 | 66.3% |
第12回(2019年) | 3044人 | 1594人 | 1450人 | 52.4% |
第13回(2020年) | 3169人 | 1961人 | 1208人 | 61.9% |
第14回(2021年) | 2800人 | 1748人 | 1052人 | 62.4% |
第15回(2022年) | 2625人 | 1750人 | 875人 | 66.7% |
第16回(2023年) | 2457人 | 1622人 | 835人 | 66.0% |
第17回(2024年) | 2310人 | 1682人 | 628人 | 72.8% |
第18回(2025年) | 2027人 | 1275人 通教生の一般生合格者482人 通教生の編入生合格者140人 指定校生の正規合格者456人 指定校生の保留合格者197人 |
752人 | 62.9% |
合計 | 59163人 | 32444人 | 26719人 | 54.8% |
とは言え、その一方で国家資格化できなくて1972年に創設してから50年以上もずっと
民間資格で、社会的にあまり高い評価を得られてはいない実情もあります。やはり業務
独占型の国家資格を取得して働いている医療従事者の方達から見ると、診療情報管理士
だけで稼働している人達は医療機関内でのヒエラルキー的にそう高くは査定してもらえ
ない現状がどうしても有ります。そこでもし悔しさを感じるのなら、医療情報技師等の
他の資格を得て自由に武装をすれば良い訳ですが。また誤解されることが多いですが、
診療情報管理士は医療事務の資格ではないです。医療事務系の資格としてカテゴライズ
される機会は巷で多くありますが、その点を誤解されないようにお願いをしたいです。
診療報酬請求事務能力認定試験の事例と異なり診療情報管理士の資格は今後も廃れない
と言い切れる3つの理由をお伝えします。共感や反論等、お好きに反応されて下さい。
理由1 競合する類似の資格が存在しないから
医療事務の資格と違って診療情報管理士は内容が類似してる資格がわんさか存在したり
しません。この点は競合する資格が他に特に無いということで大きな強みと言えます。
医療事務の世界はちょっと検索をかけてみただけで名前を正確に覚えられないような、
似てる漢字表記の資格がわらわらと出てきて市場的には危険なレッドオーシャンです。
- 診療報酬請求事務能力認定試験(医科・歯科)
- 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)(医科・歯科)
- 医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク)
- 医師事務作業補助者検定試験(ドクターズオフィスワークアシスト)
- 医師事務作業補助者実務能力認定試験
- 認定医師秘書(医師事務作業補助業務実務能力認定試験)
- 2級医療秘書実務能力認定試験
- 医療秘書技能検定試験
- 医科医療事務管理士技能認定試験
- 医科医療事務技能認定試験(医療事務技能士認定試験)
- 医科2級医療事務実務能力認定試験
- 医療事務実務士(医療情報実務能力検定試験)
- 医療事務(医科)能力検定試験
- 医療事務認定実務者試験
- 医療事務OA実務能力認定試験
- 電子カルテオペレーション実務能力認定試験
- 医療事務検定試験
- 医事コンピュータ能力技能検定試験
- 医事オペレータ技能認定試験(メディカルオペレータ)
- メディカル・フロント・コンシェルジュ技能認定試験
- レセプト点検業務技能検定試験
- 保険請求事務技能検定試験
- クリニック事務技能認定試験
- 医療保険士試験
理由2 医療現場での需要が多様化してるから
診療情報管理士は大きめの総合病院で勤務されているケースが一般に多いですが、医療
の現場では役割が多様化していて、益々重要な専門職種として扱われています。今後も
その傾向はより一層強まっていく状況にあり、有資格者へのニーズは絶対無くならない
と言えます。国家資格化して待遇の条件を少し改善できれば受験者数は爆増必至です。
特定機能病院のような規模が大きい医療機関において診療情報管理士のみを資格要件に
してこぞって求人が出されている現況を勘案すると資格の市場価値は非常に高いです。
理由3 難関の資格ではなくて取得し易いから
診療情報管理士の認定試験での合格率は50~60%前後で推移しています。10%未満の
士業の国家資格等と比べて明らかに取得し易いです。当サイトで配信しているノウハウ
に忠実に従って地道に受験勉強を進捗させて、認定試験までの残り時間で合格基準点を
超えられる得点力を身につけられれば資格は必ず手に入れられます。診療報酬請求事務
能力認定試験では過去問題を完璧にやり込んで仕上げていても普通に落とされることが
ありますが、診療情報管理士の認定試験はそこまでの難易度ではないです。模試問題を
しっかり演習して、同時に関連する周辺知識を増やしておけば取得は難しくないです。
難易度が高過ぎると敬遠する層も世間では必ずいますので、この点も特長と言えます。
まとめ
診療情報管理士の資格の未来予想図としては第19回(2026年)以降も受験者数は漸減
を続けていくと推察されます。5年後や10年後を想定してみると、ひょっとすると毎回
の受験者数が500人前後になってしまって、認定試験を始める前の状況と同じくらいに
なる可能性は有ります。それでも診療情報管理士の有資格者に対する医療現場での需要
は変わらずに推移して、寧ろ高まっていく傾向すらあります。また医療事務の職種より
待遇の条件が一般に良いこともあり、求人への応募が途絶えることは無いです。従って
将来的な展望としては医療事務よりは上位の立場と待遇の条件で医療機関において安定
して働いていける未来を見通せます。これから資格を目指しても損にはならないです。
但し、基礎分野と専門分野で48単位を取った上で最後の認定試験に合格しなければなり
ません。医療事務の資格を取れた方達が誰でも目指せるとは限らず、注意して下さい。
