診療情報管理士の認定試験でICD-10の中間分類項目の対策方法
診療情報管理士の認定試験の受験勉強で『ICD-10のコードの中間分類項目については
どのように準備をすれば良いのでしょうか?』と読者の方達から質問を頂きましたので
お答えしておきます。中間分類項目を全て暗記しておくことはそもそも無理で、問題を
解く際に必要になる知識だけを出題される形式で無駄なく覚えておくことが大切です。
中間分類項目の出題傾向
受験生の方達はまず『中間分類項目って何なの?!』というところで困ると考えられます
が、それは公式テキスト2を参照して理解して下さい。通信教育講座の指定の公式教材
に書いてあるような内容は情報の優位性が特に無いので、当サイトではその説明をなぞ
って記載したりは、一部の例外を除いて絶対しません。コンテンツ化してサイトに載せ
ても全く価値が無いからです。『そんなことはテキストに書いてあるんだから、読めば
いいでしょ』となるだけだからです。原死因の選択ルールや主要病態の再選択ルールは
ルールの内容を理解するのが難しく公式テキストの説明が非常に分かりにくかった為に
特別に分かり易く編集をして解説しました。分かりづらかったのは厚生労働省の文章を
殆どそのまま転載しているからです。認定試験の専門分野で中間分類項目の知識が求め
られる問題は以下の2種類のみですが、出題の傾向が今後変化する可能性が有ります。
設問の傾向がもし変わったら、出された内容に合せて問題(類題)やオリジナルの資料
をまず用意して演習と知識の暗記を繰り返すことで認定試験へ柔軟に対応して下さい。
- 『~の正しいコードを1つ選びなさい』の問題 約5題
- 退院時要約中でICD-10のコードを選択する問題 1題
【例題】
問1 「2型糖尿病性ケトアシドーシス」の正しいコードを1つ選びなさい
a. E11.1
b. E10.1
c. E14.1
d. E14.3†
e. E12.4†
問2 「左眼窩底部骨折、後楽園ホールでボクシングの試合中にパンチを被弾した」の
正しいコードを1つ選びなさい
a. S02.2 V50.30
b. S02.30 W50.30
c. S02.31 W50
d. T56.2 W50
e. T56.20 W50.3
【解説・解答】
問1
糖尿病性ケトアシドーシスは1型糖尿病と2型糖尿病のどちらの由来でもE14.1となり
糖尿病による急性合併症でインスリンの欠乏によるアシドーシス(酸性血症)である。
正解は c.
問2
主傷病名の眼窩底部骨折(頭部損傷)は19章S00-S09のS02.3で5桁細分類項目(0,1)
は閉鎖性骨折なので0となりS02.30となる。外因コード20章V01-Y98のVは交通事故で
W00-X59は不慮の損傷、X60-Y98はその他の外因で、『他人による叩かれ』は不慮の
損傷のW50で、W00-X59では4桁目の発生場所コード(スポーツ施設で3)と5桁目の
活動コード(スポーツ活動中で0)をつけてW50.30となる。『~していて…となった』
というパターンの設問はICD-10のコードの分類体系に関する広範な知識が求められる。
正解は b.
『~の正しいコードを1つ選びなさい』の問題は上記の2パターンのみが出題されます
が、どちらもそれぞれに難しさが有り、中間分類項目が分かってないと解けないです。
また退院時要約問題はICD-10のコードの中間分類項目の知識が、消去法で最後の二択
に絞った場面で必要となるケースがたまに有って、第18回認定試験で実際に出ました。
余談ですが、こちらの記事をご覧になった読者の方達はこれから中間分類項目について
勉強を始めようとされている状況でしょうから、2つの例題が解けなかったり、解説の
内容を全く知らなくても気にする必要は無いです。当該例題はオリジナルの設問ですが
認定試験の直前期(1か月前)に説明をしっかり理解できてれば充分に合格できます。
中間分類項目の対策方法
中間分類項目の受験勉強の方法は公式テキスト2の中間分類項目が書かれているページ
を全てコピーして、A4の用紙に貼って、それをリングファイルに閉じて、繰り返し見て
覚えるようにして下さい。こうすることで分厚くて重い公式テキスト2を持ち運んだり
繰り返し通読する地獄から解放されます。そして一覧の形で載っている中間分類項目を
全て暗記しようなんて考える必要は無く、雰囲気を重視して『こんな感じで分類されて
いるのね』というイメージで繰り返し見ていって下さい。また『この章に属さない疾患
(除外)』の欄に具体的な疾病名がある箇所には下線を引いてそれなりに覚えるように
して下さい(例 15章Oのページは『新生児破傷風(A33)』だけマーカーしておく)。
また中間分類項目を用いて具体的にどのようにコーディングをするのか?の流れを理解
して、Vは交通事故で、WとXは不慮の損傷、Xの残りとYは他の外因、発生場所コード、
活動コード等を『自力で書けて再現できる知識』ではなくて『選べて正解できる知識』
として身につけておいて下さい。中間分類項目は各項目を細かく暗記するのではなくて
例えばICD-10の20章V01-Y98のV・W・X・Yの分類体系が何を表すか?をざっくりと
覚えておければ対策としては必要十分です。そして模試問題を参考にして、糖尿病等の
有名な病気の中間分類項目のみをある程度知っておくという感じで身につけて下さい。
ICD-O-3の分類体系も同様に準備できれば、それ以上の詳細な知識は求められません。


まとめ
診療情報管理士の認定試験の受験勉強でICD-10のコードの中間分類項目についてどの
ように学習すれば良いのか?対策方法をお伝えしてきました。公式テキスト2のページ
に書かれている中間分類項目を細かく全て暗記するのは無理で、コーディングの仕組み
を理解した上で雰囲気に慣れる感じで繰り返し見ておいて下さい。そして模試問題等で
演習を繰り返して『中間分類項目をどのように覚えておけば正答できるのか?』を理解
して下さい。実際に糖尿病等の有名な疾患や、20章V01-Y98とICD-O-3等の分類体系
が分かれば得点力を上げ易いです。まずICD-10の全体の構造を理解して章名と英字を
全て正確に覚えてから、その補足として中間分類項目をある程度知っておいて下さい。
