診療情報管理士の認定試験での専門分野の受験勉強のノウハウ
診療情報管理士の認定試験では専門分野の受験勉強をどう進めるべきか?作業のフロー
を具体的に解説します。医療事務の仕事をされている社会人で通教生の方達をこちらの
記事では主に読者として想定しています。『医療の資格』の模試問題の選択肢中の用語
をあまり知らない方達が対象で、専門課程を必ず乗り超えて合格することが目標です。
目次
認定試験の専門分野の受験勉強での具体的な作業
認定試験の専門課程の受験勉強で使用する教材は次のようになります。公式テキスト2
は専門分野の受験勉強で主に辞書として使いますが、11・12章のみは通読して内容を
理解する必要があります。また公式テキスト2の原死因を判定する問題の例題はオリジ
ナルの資料のファイルに収録して繰り返し演習で利用します。更に中間分類項目の説明
があるページはコピーしてオリジナルの資料のファイルに収めて繰り返し読んで覚える
用途に活用します。その他に通読したりまとめたりの作業は無いので注意して下さい。
専門分野の模試問題で知らない用語を調べる
4回分収録されている専門課程の模試問題の選択肢と解説に含まれている知らない用語
の読み方や意味、疾患等のICD-10のコードを調べて書き込み、スペース的に狭い場合
は模試の回(1~4)と設問番号(1~50)を書いてからワードのファイルに記録して
いって下さい。これはできるだけ図解をして図表を貼りながら説明を保存して下さい。
またオリジナルの資料中の解説の文言はなるべく公式テキスト2から抽出して下さい。
何故なら公式テキスト1・2の文章を基準にして練習問題や科目試験の設問と認定試験
の問題が作成されているからです。公式テキストに載っていなかった項目はネット等で
調べて下さい。例えばネットだけで調べてしまうと公式テキスト2と異なる表現(キー
ワード)を拾って暗記して身につけることになり、すると認定試験の選択肢と違う言葉
を覚えてしまい、結果として得点力を下げてしまうことになりますのでやめて下さい。
参考までに日本病院会様により認定試験の出題分野と出題基準は次のように規定されて
います。因みに『診療情報管理Ⅱ』の冊子は認定試験の受験勉強では用いず不要です。
- 基礎分野
- 公式テキスト1(診療情報管理士テキスト 診療情報管理Ⅰ 基礎・医学編)
と『診療情報管理Ⅱ 基礎・医学・医療用語編』及び診療情報管理士教育練習
問題(基礎・医学編)を中心に出題する - 専門分野
- 公式テキスト2(診療情報管理士テキスト 診療情報管理Ⅲ 専門課程編)と
診療情報管理士教育練習問題(専門課程編)を中心に出題する
例えば同じ疾患の病態を説明する文章を調べていて公式テキストから文言を取るのと、
ネットから採るのとではキーワードが相違します。可能な限り前者を用いるべきです。
この知らない語句を調べる作業は1周目を終えて、その後2周目で誤字や脱字と漏れ、
分かりにくい部分が無いか?をチェックして完璧にして下さい。受験勉強の開始直後に
模試問題を実力で解ける人はいません。最初は知らない言葉を徹底的に調べることから
始めるしかないです。基礎課程より専門課程の方が楽ですが、数ヶ月程度はかかるので
焦らずにマイペースで取り組んで下さい。余談ですが、模試問題の選択肢と解説を調べ
ずに読んでみてどんな用語が出てくるか?出題の形式はどんな感じか?全体の雰囲気を
感じ取ることは無駄ではないです。しかし専門分野の問題は60題で、4回分で240題で
各設問に選択肢が5個ずつあって全部で1200肢となり、1周して全て見るだけでも時間
と労力をけっこう要します。そこで認定試験の専門課程の問題を俯瞰して眺めて雰囲気
を観ながら知らない用語を調べる作業を同時進行で進められると時間効率が良いです。
上記のように積極的に図解をしながらオリジナルの資料を専門分野の模試問題について
作製していって下さい。但し、この資料は模試問題の選択肢や解説と違って通読用では
なくて辞書用です。何度も繰り返し読んで覚える為の資料ではないです。認定試験まで
何度も繰り返し見て知識を身につける暗記用の資料は辞書用とは別に編集してA4サイズ
のファイルにまとめて受験勉強で使います。辞書用の資料は模試問題の演習をしていて
疑問が生じた場面で解決する為の教材でパソコンに入れたままの状態で用いて下さい。
因みに暗記用のオリジナルの資料は辞書用の資料が完成して模試問題の選択肢と解説を
覚える段階に入ってから暫くして診療情報管理士の認定試験では専門課程でどんな知識
を覚えておくべきなのか?また逆にどのような事柄は出題されそうにないからスルーを
すべきか?を経験的に適宜判断できるようになってきたタイミングで製作して下さい。
調べる作業では模試問題を解くのに必要な深さの知識を得るだけにして下さい。その時
に最適な教材は公式テキスト2で、その内容以上の詳しい説明は追求しないで下さい。
公式テキスト2の内容を基準にして練習問題や科目試験の設問と認定試験の問題は作成
されています。そしてそれらを分析して『医療の資格』の模試問題や一問一答の問題集
と語呂合せ等の暗記本は編集されています。認定試験の受験勉強では無駄に細かい知識
を求めないように注意して下さい。知識の解像度を上げると勉強をして成長した感覚は
得られますが、それは認定試験での得点力の向上というリターンにはつながらず時間と
労力の浪費になってしまいます。ネットで知識を調べる際にも同様に注意して下さい。
参考までに冊子版ではなくてネットでのICD-10のコードの調べ方はこちらの手引きを
参照してコードを調べる練習を続けて下さい。繰り返すことで自然に上達してきます。
一問一答の問題集中で知らない用語を調べる
模試問題と同じ要領で一問一答の問題集の説明を読んで知らない用語を調べて下さい。
但し、一問一答の問題集には認定試験で出題されなさそうな項目が含まれていて、全て
の事柄を調べて理解して覚えるべきではありません。☆マークを含めてどのような語句
を調べるべきか?は『知識の解説(専門課程編)』で整理してあり参考にして下さい。
一問一答の問題集は公式テキスト2よりも薄く、認定試験の出題傾向に完全にピントを
合せてあります。全ての項目を暗記しておくことはできますが、無駄を省いて下さい。
また一問一答の問題集も模試問題と同じで調べる作業を通して2周はして説明の漏れ等
が無いか?慎重に確認して下さい。専門課程は基礎課程より調べるのがとても楽です。
語呂合せ等の暗記本で知らない用語を調べる
語呂合せ等の暗記本は医学史上の偉人や英単語、英語の接頭語と接尾語、英語の略語が
語呂合せの暗記用の文面と一緒に載っています。でもそれらは専門分野では出ないので
暗記したい専門課程の細かい知識を本編と索引に書き込んで覚える用途に語呂合せ等の
暗記本を利用して下さい。このやり方だと専門分野の知識をスキマ時間で増やせます。
【例】
『プロセス指標5つ P16』と索引の余白部分に書いて、それから16ページの余白部分に
剖検率・リハビリテーション実施率・クリニカルパス使用率・尿路留置カテーテル使用
率・身体抑制患者1人当たり抑制日数を書いておいて、索引のその部分を見た時に5つ
の知識を思い出して言えるか?を何度も繰り返してチェックして覚えるようにします。
またプロセス指標の他にアウトカム指標が6つ有り、それらは長くて覚えにくいので、
プロセス指標5つだけ覚えて、それ以外の6つは全てアウトカム指標だと覚えました。
アウトカム指標は患者満足度・死亡退院患者割合・褥瘡新規発生率・退院後42日以内の
緊急再入院率・入院患者の転倒転落の発生率・病棟での薬剤関連事故事象発生率です。
語呂合せ等の暗記本は小さくて薄く軽い為に持ち運びがし易くて、ちょっとした隙間の
時間に暗記をするのに適していて上記の他にも上手い活用方法を工夫してみて下さい。
模試問題を解きながら選択肢と解説を覚える
模試問題の選択肢と解説の文章で知らない用語を調べる作業を全て終えた後はひたすら
演習を繰り返して、語句だけではなくて選択肢と解説の文言をそのまま覚えるまで反復
して下さい。この作業は専門課程は4~5周程度が目安です。基礎課程は7~8周で、
これは覚えづらい知識が大量に登場してくるからです。そのくらいまでリピートすれば
『何度も見ていてさすがに覚えたよ.. 』という既視感が出てきます。『医療の資格』の
模試問題は選択肢がそのまま認定試験で実際に出題されたり、または内容を少し変えて
ある選択肢が普通に多く出されます。この特長があるので専門分野の模試問題の選択肢
は全て覚えてしまう姿勢で取り組んで下さい。そして解説の文章は知らない肢に対して
消去法を用いて類題として対応する時に役に立つ知識を身につけられる為に全て覚える
つもりで繰り返し読んで下さい。模試問題の演習では自力で解答して考えてみて、正解
を確認して終わりにするのではなくて解説を読みながら全ての選択肢の正誤を必ず確認
して内容を理解して覚えることが大切です。その肢が何故正しいのか?誤りなのか?の
理由を解説で確認して下さい。模試問題の解説はそれなりに丁寧に書かれていますが、
用語の読み方や意味、病態、ICD-10のコード、周辺の関連知識を完璧に説明してある
訳ではないです。情報が足りないと感じたらその部分を自身で調べて補って書き足して
おいて下さい。また教材は人が作っているので誤字や脱字も普通に有り、不完全な内容
で、見つけ次第訂正しておいて下さい。各選択肢について正誤の理由を明確にする為に
解説を追加して詳しく説明して、その他に認定試験に出そうな周辺知識を加えておいて
下さい。その作業を終えられればやがて専門課程の模試問題で分からないことが皆無に
なり、更に何度も繰り返し解くことで得点力が完成します。基礎課程よりは簡単です。
一問一答の問題集の頻出箇所の説明を覚える
模試問題の選択肢と解説について調べる作業を完遂したら同様にして一問一答の問題集
の☆マークを含む認定試験で出題されそうな箇所の知らない語句を全て調べて理解して
繰り返し読んで覚えて下さい。一問一答の問題集では穴埋めの形式で知識が解説されて
います。必要なのは『記述式の設問で文章を書いて再現できる知識』ではなくて『五肢
択一の問題で正誤を判断できる知識』を身につけることです。書けないけど選べる知識
を意識して増やして下さい。例えば『これは模試問題で見た選択肢に似ていて明らかに
誤りだな.. 』等と消去法で取捨選択できる知識が多ければ認定試験では正解できます。
記述式の設問よりは受験勉強が楽です。その特徴を活かして暗記に取り組んで下さい。
4種類の教材を同時進行で繰り返し暗記する
模試問題を解いて解説を確認し、一問一答の問題集の穴埋めをして説明の文章を読み、
語呂合せ等の暗記本の本編と索引を読み、知らない言葉を全て調べて内容を理解したら
最終的な段階としてそれらを繰り返し読んで暗記する作業を最後まで継続して下さい。
その時にオリジナルの資料(辞書用)を適宜閲覧しながらオリジナルの資料(暗記用)
を一緒に繰り返し読んで覚えて下さい。因みに専門分野では努力次第で認定試験で初見
の選択肢をゼロにできます。暗記する作業を残り時間でできる限り繰り返してその境地
を目指して下さい。基礎分野では初めて見る内容の選択肢がどうしても登場しますが、
専門課程ではそれを無くせます。重箱の隅をつつくような難易度が高い設問は認定試験
ではあまり出ません。難しく感じる問題は勿論あり得ますが、消去法で2択まで絞って
それまでの受験勉強での演習で得た知識と経験を総動員してどちらかを選んで下さい。
模試問題は本来なら4回分だけでなくて10回分くらいはほしいところですが、経済的な
事情で増やすのが難しい面もあります。通教生の方達は模試問題と一問一答の問題集に
語呂合せ等の暗記本、オリジナルの資料(暗記用)を完璧に身につけて認定試験に臨む
しかないです。過去問題や会場の模試が無いのは他の受験生の方達も条件は同じです。
診療情報管理士の認定試験に限らず、資格試験の受験勉強では一般に出題されるところ
だけ、出される形で身につけて、類似の設問に対する臨機応変な対応力を培ってどんな
問題に遭遇しても制限時間内に合格ライン(合格基準点)を超えられるように得点力を
養成しておくことが本質であり必須です。専門分野では頑張り次第で満点を狙えます。
