医療事務最難関の公的資格レセ認歯科の実技試験の勉強方法
診療報酬請求事務能力認定試験(歯科)(レセ認)で歯科の医療事務の実務経験が全く
無い方達を読者として想定した上で実技試験はどう準備すれば良いか?を解説します。
つまりレセプトのどこに何が書いてあるのか?や各項目の用語の意味、診療点数の算定
の方法等を何も知らない初心者の方達を合格できるレベルまで伸ばすことが目標です。
目次
実技試験への受験勉強での具体的な手順
実技試験は歯科の外来を受診した患者さんのカルテ(歯科診療録)の情報を用いてレセ
プト(歯科診療報酬明細書)を作成する設問が毎回3題ずつ出題されます。歯科は入院
のレセプトは扱わず、外来の診療報酬明細書のみになります。カルテに書かれてる情報
を読んで各算定項目の所定点数を計算して、最終的な合計の点数を算出する問題です。
実技試験の演習の1巡目にする作業
最初はカルテの読み方や、書いてある言葉の意味すら全く知りませんでした。従って、
そこからレセプトを自分で書くなんて絶対にできません。歯科診療録に記載されている
どの用語を歯科診療報酬明細書のどこにどう転記すれば良いのか?が全然分かりません
ので、とにかく問題の解説を読んでいって下さい。社会保険旬報の解説は丁寧に内容を
整理して分かり易く書かれてますので、まず10回分で30題の解説を読んでみて下さい。
1巡目は知らない歯科の専門用語が沢山出てくる感じがしますが、細かく気にしないで
読み進めて下さい。勿論、興味をもてた言葉があったら意味を調べてみても良いですが
時間と労力が無駄になり易いので、この段階では知らない用語を網羅的に調べたりする
のはやめて下さい。例えば10回分の過去問題を読んでみると、毎回同じような計算方法
で同様の診療点数を算定してることが分かってきます。その傾向を理解しながらカルテ
中のどういう言葉をレセプト中でどのように書いて計算すれば良いのか?を徐々に身に
つけていって下さい。学科試験と同じで解説の内容に慣れることから始めて頂きます。
実技試験の演習の2巡目にする作業
2巡目になるとカルテと問題の解説に書いてある言葉に結構慣れてきます。ここで知ら
ない用語の意味を調べてみて書き込んでおいても良いです。そして歯科の診療録と設問
の解説に書かれてる内容をできるだけ全て分かるようにして下さい。2巡目まで終わる
とレセプトのどこにどんなことをどのように書き込めば良いのか?が分かってきます。
実技試験の演習の3巡目にする作業
カルテと問題の解説の内容に慣れてきたところで3巡目はレセプト中の算定項目の略称
や正式名称と意味に診療報酬点数を確認して、一覧の形でまとめて資料にして下さい。
診療報酬請求事務能力認定試験(歯科)(レセ認)では診療報酬明細書のどこにどんな
算定項目が記載されていて、それはどういう意味で、どのような場合に何点を算出する
のか?をまずは知らないといけません。それをまとめた資料が無いと実技の試験問題を
解く、つまり歯科外来のレセプトを作成することができません。また厳密には診療報酬
明細書に書かれてない診療項目が毎回の試験で出題されてしまう可能性がありますが、
もし出たら、それは試験場で診療報酬点数表や参考書等で調べて対応すれば良いです。
例 レセプトの赤色の□部分に『 歯管 80・100+10+40+260+50+ 』とあります
が、初心者だった当方は『これが何を意味してるのか?』を全く知りませんでした
そこで頑張って調べてみて歯管は正式名称が『歯科疾患管理料』で
- 80点 初診月の場合
- 100点 再診月の場合
- 10点 略称は文 正式名称は文書提供加算
- 40点 F洗 フッ化物洗口指導加算(洗口はせんこうと読む)
- 260点 初期う蝕 エナメル質初期う蝕管理加算
- 50点 総医 総合医療管理加算
という意味だと分かりました。そしてその他に出そうな項目として
- 長期 長期管理加算 初診月から6月を超えて歯管した場合は
120点 か強診 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の場合
100点 その他の保険医療機関の場合
- 100点 小機能 小児口腔機能管理料 月1回まで算定できる
- 100点 口機能 口腔機能管理料 月1回まで算定できる
をついでに調べて書いておきました。これらは実技試験の過去問での演習の経験が
ある程度あれば出そうな算定項目を予想できるようになり、それで加筆しました。
実技試験の演習の4巡目にする作業
3巡目の資料を完成させられると歯科のレセプトの内容についてほぼ全て分かった状態
になれます。しかし実はまだそれだけでは実技試験の問題を自力で解くことはできない
です。各算定項目毎に実際に過去問題で出題されている形での計算方法をまとめておか
ないと問題を解く度にその都度算出のやり方を調べないといけなくなります。それでは
制限時間内にとても解き終わらない現実があります。3巡目に作った資料を参考にして
実技試験の過去問題の解説を見て、頻出してる診療項目がどのように計算されていて、
診療報酬明細書のどこにどう書かれるのか?を具体的にまとめて資料の形にしておくと
実技の問題を見て診療報酬点数をすぐ書き込めることになり、最強の資料になります。
因みに57回の実技試験ではこのまとめの資料を試験会場で使ったことでほぼ完璧に回答
できました。僅かに以下の2項目だけは過去に出されていない為にその場で調べました。
- 連携強化診療情報提供料(紹介元の医療機関からの求めによる) 150点
- 口腔内消炎手術(歯肉弁切除) 120点
逆に言えば、これら以外の項目は算定項目毎に所定点数をオリジナルの資料で確認して
簡単に解答できてしまいました。この資料があるとかなり時短になると理解できます。
例 実技試験の問題では大抵、診療を始めて最初の方でX線検査が算定され、50回以降
の最近は『X線(D)(デジタル、電子画像管理)』と書かれてる場合が多いです。
レセプトの内容について過去問で出題される形で分かってないと対応できません。
これは初回の撮影だと20+28+10=58点で、2回目以降で症状の確認をする際には
10+28+10=48点となります。『X線検査』のその他欄で□の中に『電』と書き、
右に点数x回数を記載します。また『歯科パノラマ断層撮影(デジタル、電子画像
管理)』と問題文にあれば125+182+95=402点で、パノラマ撮影では症状の確認
をする場合は無く、その他欄で□中に『パ電』と書き、右に402x回数と書きます。
このように問題で出される形で覚えておけばX線撮影の診療項目についてすぐ回答
できます。このような要領で頻出の算定項目を全てまとめておく必要があります。
実技試験の演習の5巡目にする作業
4巡目で作製したオリジナルのまとめ資料を使用して10回分の過去問題を自力で解いて
下さい。そしてできるだけ速く解くように意識しながら、問題を実力で解く練習を更に
2~3周繰り返すことで最終調整をして実技試験の得点力の仕上げをして下さい。実技は
4巡目の資料が完璧にできていて、その後に設問を解く訓練をしておけば合格できます。
5巡目までの作業の過程を全て乗り超えられれば、例えば初めて見た実技試験の問題を
15分程度で解答することが可能になります。勿論、オリジナルの資料に書かれてない
診療項目がもし本番の試験で出題されてしまったら、それは診療報酬点数表と参考書等
を使って急いで調べて解決しないといけません。でもそれでも数分の誤差で済みます。
逆に言えば、実技試験に関しては受験勉強をして最終調整を終えた段階で『初見の問題
を15分以内で余裕で回答できてしまうスペック』を目指して頂きたいということです。