診療情報管理士の認定試験での原死因の選択問題の対策方法
診療情報管理士の認定試験での受験勉強で捨てる問題にされ易い『原死因の選択問題』
について『どのように対策をすれば良いのでしょうか?』と大勢の読者の方達から質問
を頂きましたのでお答えしておきます。公式テキスト2の説明は要は厚生労働省による
解説を丸写ししていて分かりづらいので適宜、補足しながらお伝えしていきます。但し
公式テキスト2に収載されている情報をなぞってコンテンツ化しても価値が無いので、
そのような不毛な行為はしません。原死因は乗り超えるのに手間と気合いが必要です。
原死因の選択問題の実態
原死因を選択する問題は慣れていないと確かに難しく感じ易いです。しかし一般原則や
選択ルール(ルール1~3)と修正ルール(ルールA~D)の内容をまず理解して下さい。
原死因は毎回の認定試験で2題出題されていて、模試問題や専門課程の確認問題と練習
問題に科目試験の問題、公式テキスト2の例題を集めて30~50題の演習を繰り返せば
乗り超えられます。設問で登場する疾患の組み合せを全て覚えてしまって下さい。実は
1問目はほぼ確実に一般原則による判断になるので確実に正解できます。そして難しい
のは2問目で、選択ルールと修正ルールが同時に絡んでくるケースがたまに有り、演習
で覚えた疾病の組み合せのパターンを根拠にして判定することで大抵は正答できます。
従って原死因の選択問題ではまず選択ルールと修正ルールの内容を正確に理解して暗記
できるかどうか?が一つ目の障壁で、次に30~50問の演習を繰り返して出題パターン
をしっかりと記憶しておけるか?が二つ目のハードルになります。逆に言えば、これら
を超えられれば2題とも得点できて、最初から諦めて捨ててしまうのは勿体無いです。
内情をバラしてしまうと、2問とも一般原則で選んで解答したとしてもけっこうな確率
で両方共獲れてしまい、原死因はそんなに難しい内容は出ない為に捨てないで下さい。
選択ルールの補足点
選択ルール3つは修正ルール4つと比べれば内容を理解し易いですが、公式テキスト2
の文面は普通に分かりづらいので読者の方達が理解し易いように編集しておきました。
名称 | 内容の補足 |
---|---|
選択ルール1 | 死亡診断書に最初に記載された病態に帰着する上下の因果関係で起因となる病態を原死因として選択し、最初に記載された病態に帰着する上下の因果関係が複数在る場合には、最初(最も左の位置)に記載された上下の因果関係で起因となる病態を原死因として選択する |
選択ルール2 | 死亡診断書に最初に記載された病態に帰着する上下の因果関係の記載が無い場合には、最初(最も上の位置)に記載された病態を原死因として選択する |
選択ルール3 | 一般原則と選択ルール1、選択ルール2を用いて選んだ病態が、明らかにⅠ欄又はⅡ欄に記載されている他の病態の直接的な影響によるものと考えられる場合には、その他の病態を原死因として選択する |
修正ルールの補足点
修正ルールでは決して深入りしてはいけない部分が有り、『修正ルール ルールC 連鎖
する病態を優先して原死因として選択する』だけは特に拘って突っ込まないで下さい。
これは病気同士がどのように関連しながら連鎖して発症するのか?の臨床診療の知識を
極めてないと本質的な判断ができないからです。医師や看護師の医療専門職の方達でも
連鎖の関係性を完璧に知り尽くしている境地に到達できるのは短期間では難しいです。
医療系の国家資格を全く保有していない読者の方達が無理に分かろうとしても、何年も
要してしまう話になり、診療情報管理士の認定試験の受験勉強をしている期間では到底
身につけられないです。修正ルールCで判断する設問をとにかく覚えて対処して下さい。
修正ルールCを使わないと解けないような初見の問題は実際にはほぼ出題されないので、
読者の方達が集めた既存の設問の内容を繰り返しの演習で暗記しておけば大丈夫です。
名称 | 内容の補足 |
---|---|
修正ルールA | 老衰及びその他の診断名が不明確な病態は無視して原死因として選択しない
|
修正ルールB | 死因になりそうもない軽微な病態は無視して原死因として選択しないで重篤な病態を選択し直す
|
連鎖する病態を優先して原死因として選択する
原死因として選択した病態が1つ以上の他の病態と連鎖している場合には、その連鎖している重要な病態を原死因として選択し、できるだけ複合した病態としてコードする 例1 アテローム性動脈硬化症は高血圧疾患や心疾患、脳血管疾患と連鎖する 感染症が原因の場合には、通常は感染症を原死因として選択するが、疾患によっては感染症まで遡らない 悪性新生物を引き起こした原因が存在する場合には、HIV以外はその原因まで遡らないで悪性新生物を原死因として選択する HIVが引き起こした他の感染症や特殊な悪性新生物は『○○を起こしたHIV病』を原死因として選択する 例2 ウイルス性肝炎は肝細胞癌と連鎖する EBウイルスやヒトパピローマウイルスHPV等の発がん性の有るウイルスは原死因として選択しないが、HIVだけは原死因として重要なので例外としてしっかり統計を取り、原死因として選択する 癌腫以外の悪性新生物(リンパ腫や骨髄腫)はHIVが原因と考え、特にカポジ肉腫はHIVが無ければ死因になることはほぼ無く、問題中で一緒に記載されていたらHIVを原死因として選択し、その他にバーキット肉腫やリンパ系、造血系、関連組織のその他の悪性新生物はHIVが一緒に記載されていたら全てHIVを原死因として選択する 腸管感染症や結核、ウイルス疾患、トキソプラズマ症、ニューモシスチス症、その他の原虫疾患、詳細不明の感染症はHIVが一緒に記載されていたら全てHIVを原死因として選択する 二次性<続発性>もしくは詳細不明の貧血、栄養失調、消耗症<マラスムス>又は悪液質は悪性新生物の影響によると考えられ、悪性新生物と一緒に記載されていたら悪性新生物を原死因として選択する 例3 本態性高血圧は脳血管疾患と連鎖する 但し、二次性高血圧の場合には高血圧を引き起こした原因が重要で、二次性高血圧は脳血管疾患と連鎖せず、二次性高血圧の原因となる病態を原死因として選択する 心疾患は『高血圧性心疾患(9章I11.9)』、腎疾患は『高血圧性腎疾患(9章I12.9)』、更に高血圧と心疾患に腎疾患をまとめて『高血圧性心腎疾患(9章I13.9)』という便利なICD-10のコードが在り、できるだけ複合した病態として、これらを原死因として選択すべきである |
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特異性を示す表現を優先して原死因として選択する
原死因として選択した病態が一般的な用語で記載されていて、且つ、この病態の部位又は性質についてより明確な情報を示す病態が別に記載されている場合には、その明確な情報の病態を原死因として選択する 修正ルールDは一般的な用語が、より明確な用語を修飾していて形容詞となるケースに適用され、『○○性△△』のように複数の要素を1つのコードで複合的に表せる場合には、それを原死因として選択し、特に心疾患は複合病態や修飾語で特異化できるケースが多い(例 感染性~、~性心疾患) |
まとめ
診療情報管理士の認定試験の受験勉強で原死因の選択問題に関してどのような対策方法
を講じれば良いのか?をまとめて説明してきました。原死因は選択ルールと修正ルール
の内容を理解して覚えられれば演習の問題に対してご自身で適切な解説を書けるように
なれます。そこまで達することができれば、後は残り時間でできるだけ演習を反復して
出題のパターンを完璧に覚えてしまえば準備は完了となります。原死因の設問は2題目
をしっかり正解できるかどうか?が山場で是非、両方の問題を正答して頂きたいです。
