診療情報管理士の認定試験で疾患の病態を暗記し易くする方法
診療情報管理士の認定試験の基礎課程では各章で疾患が膨大に登場します。その読み方
や病態、ICD-10のコード等を身につけなければなりません。疾病の病態を詳しく知って
いないと正確なコーディングはできませんし、病気について学ぶ際にはICD-10の全体の
構造(コーディングの体系)を意識しながら覚えることが大切です。コーディングする
所為は診療録管理士の基本的な業務であり、ICD-10を使いこなせないHIMは医療現場
で存在意義が全く無いからです。しかし病いの名称は沢山あり過ぎて、受験生は誰もが
苦労しています。『認定試験に向けて受験勉強を始めたのですが、特に基礎分野で出て
くる疾患の病態をなかなか覚えられなくて.. 何か良い暗記の方法はありませんか?』と
読者の方達から質問を頂きました。そこで数多くの疾病の病態を楽に暗記できる方法を
紹介します。辛いだけの受験勉強にせずに少しでも活路を拓く為に参考にして下さい。
疾患の病態とコードをどうやって覚えられるか?
覚え易い暗記の方法をお伝えする前に、病気は必ず模試問題と一問一答の問題集を題材
にして選ばなければなりません。模試問題に出ている疾患は全てで、一問一答の問題集
では☆マークがついている疾病と、その他に模試問題から認定試験で頻出であると想定
できる病いに限定します。認定試験でとても出そうにない長くて難しいマイナーな病気
の名前は時間と労力をかけて覚える必要は無いです。最初に注意して選別して下さい。
とは言っても、認定試験を実際に受験した経験がない状態で一問一答の問題集を用いて
的確に疾患の選別をすることは無理があるので『知識の解説(基礎課程編)』の箇所を
参考にして下さい。関連知識を広げる目的とは別に無駄は省くべきで注意して下さい。
基礎課程の一問一答の問題集では全ての疾病について読み方や病態、ICD-10のコードを
覚える必要は無いです。認定試験で現実的に出ないと想定されるマイナーな病気も結構
収録されているからです。その一方で莫大な数があって認定試験までに全てを暗記する
ことはそもそも無理でもあります。当サイトにて提示している病気だけにして下さい。
さて、基礎分野で出てくる疾患の病態を理解して覚え易くする方法は記憶のとっかかり
をとにかく作ってしまうことです。例えば次の疾病を読者の皆さんはどう覚えますか?
- ベーチェット病
- 肺分画症
- 急性大動脈解離
- 2型糖尿病
- 急性膵炎
- ハンチントン病
- 常位胎盤早期剥離(早剥)
- 原発開放隅角緑内障
知らない病気がどんな病態なのか?理解して覚えようとする時はできるだけ身内や知人
と友人、もしくは著名人等の事例を関係させて記憶のとっかかりをご自身の中で作ると
覚え易いです。弊サイトの編集部の担当者の場合ですが、ベーチェット病は一問一答の
問題集で説明を何度読んでいてもなかなか覚えられませんでした。特にカタカナ表記の
疾患名は漢字表記の場合と違ってとにかく病態を想像しにくく、より暗記しにくい面が
あります。でも受験勉強で苦しんでいたある日、ニュースでハロー!プロジェクト内の
アイドルグループに所属の女性のメンバーが国の指定難病であるベーチェット病に罹患
した事実を公表したと見かけました。そこで説明の文面を読みながらベーチェット病の
病態を理解してすぐに覚えることができました。『ベーチェット病はこんな病態の疾病
で、この人は今こんな症状が出ていたりして苦しんでいるんだな』と想像をすることで
暗記のきっかけとなるイメージが強烈に得られて、それで簡単に記憶できるようになり
ました。肺分画症はロックバンドの10-FEETのドラムのKOUICHIさんが人間ドックで
発見して手術をして暫くLIVEが延期されたとニュースで見て、一番好きなバンドだった
のでインパクトがあって驚いて瞬時に銘記できました。急性大動脈解離は母親が以前に
罹患して2次救急で搬送されたと連絡を受け、その衝撃を契機にして暗記できました。
2型糖尿病と急性膵炎は父親が発症して、日頃の運動不足から肥満になり、生活習慣が
主な原因だったと分かり、その機会に病態を詳しく覚えられました。ハンチントン病は
知り合いの看護師さんが遺伝性の疾病で、患者さんに舞踏運動等の症状が見られて.. と
話しているのを聞いた際に覚えられました。常位胎盤早期剥離は知っている産婦人科の
先生が、女性が出産で入院して破水する前に胎児の心拍数をモニタリングしていて異常
に気づき、院内のスタッフが総出で緊急対応をして母子共に奇跡的に無事で生き残れた
とのエピソードを話して下さって、その時のイメージで完璧に暗記できました。最後に
原発開放隅角緑内障は大学時代の親友が当方の助言で検診を受けてみた際に偶然に発見
されて原発閉塞隅角緑内障と一緒に比較しながら病態を身につけることができました。
こんな風に記憶の起点は何でも良いです。受験生の皆さんの身近で起きた事例や普段の
ニュース等、どんなことでも構いません。とにかくどんな病気なのか?症状を具体的に
理解して強烈にインプットできるように受験勉強をしながらご自身の頭の中で紐付けて
下さい。そして日常生活の中で様々な疾患に対して意識的に敏感になって、その病態を
長期記憶として暗記できるように努めて下さい。このようにすれば一問一答の問題集の
説明を延々とただ読んでいて棒暗記しようとするよりもずっと強い記憶が得られます。
また注意点としてベーチェット病は13章M、肺分画症は17章Q、急性大動脈解離は9章I
というようにICD-10の章とアルファベットをセットで覚えておくことが必須です。その
後の数値の中間分類項目等は特に暗記は不要です。基礎過程で疾病の病態を覚える時は
ICD-10の全体の構造(コーディングの体系)を意識して病いを分類しながら身につける
ことが大切だからです。有名な病気が何章に分類されるのか?を問う設問が認定試験で
実際に出題されるし、診療情報管理士の実務の現場でICD-10の扱いは基本の業務です。
